でも、たのしかったなぁ。

生まれて初めて失業(退職)したもので、毎日が日曜日だった。

 テーブルを4卓とカウンター4~5人で20人。昼夜2回転したら、暮らしていけるな。
   捕らぬ狸の皮算用。
そんなマヌケ計算をして、1m*0.75mの板を4枚買って、安いスタンドの足をつけて、板の角をお椀で線を引いて丸く落とし、
知り合いのペンキ屋さんから、ウレタン塗料A剤、B剤の一斗缶二つ。ハケとサンドペーパーを用意して塗り始めた。

「Aを塗って乾いたらヤスリかけて、B塗って、同じこと繰り返せばいいから…」ペンキ屋さんの講習はそれだけだった。
途中で、4枚の板に一斗缶二つは、あまりにも多いことに気がついたが、10回くらい塗っただろうか。厚い皮膜の
ピッカピカのテーブルが出来上がった。でも、それを支えるスタンドが小さくてグラついた。
今更しょうがない。テーブルに体重をかけるとひっくり返りそうに揺れた。

テーブルを作り終えると、することが無くなった。新しい年を迎え、1989年。昭和から平成になった。