おたる桜いぶしベーコン

☆ おたる桜いぶしベーコン             

まず、原料となる豚肉のお話をしなければなりません。
小樽は、北海道の後志(しりべし)管内にあります。この地域は、ニセコや赤井川、羊蹄山など牧畜が盛んな地域です。

1989年のレストラン創業当時は、そんな地元の豚肉を使って見よう見まねでベーコンを作っていました。
しかし、納品される豚のバラ肉は、どれも脂身が多すぎでラードを仕入れているような感じです。

豚肉のことを勉強しているうちに「ランドレース」という北欧で作っている豚肉があることがわかりました。

知れば知るほど、見てみたくなり、試しに仕入れたところ、一目で気に入りました。
これまで、脂身に赤い筋が数本入っていたようなバラ肉が、全く逆転したのです。食の安全面もヨーロッパで最高の品質です。 

この赤身の多いデンマーク産ランドレース種の豚バラ肉を自家調合秘伝の塩を一枚ずつ擦り込みます。これを乾塩法といい、一番手間がかかり経験も必要な方法です。
数日間塩漬けした後、余分な塩を流水で流します。

さて、その前に燻製にかけるためのチップを作ります。
そこで桜の木を集めてこなければなりません。
幸いなことに、小樽とその周辺には、桜の木が多く、またサクランボ農家もたくさんあります。
そんな農家の方々や造園業者などから桜の木を譲ってもらいます。いわゆる廃材なのですが、私たちにとってお宝です。

そんな桜の木をカットして、がっちり煙りをかけます。豚肉を漬け込む塩にスパイスは入れていません。すべて桜の煙で香りと色が生じます。

煙をかけたくらいでは、肉は加熱されません。できたベーコンは、すべて生ベーコンです。
主に、生のままで真空します。一部、オーブンに入れて加熱したベーコンも作ります。
デパートでの対面販売では、生のベーコン「非加熱食肉製品」の説明ができますが、贈答用などには、加熱したベーコンをお勧めしています。
現在全国で販売されているベーコンの殆どが「加熱食肉製品」だからです。